子猫チビ太とイラストの成長ブログ♪

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市川崑監督作品 その4『黒い十人の女』をみる

さて、市川崑監督作品の4本目です。


1961年


テレビプロデューサーの主人公と妻+9人の浮気相手の女性たちをめぐるブラックユーモアミステリー。



やけに女のズルさ、いじわるさが描かれていると思ったら、脚本は市川監督夫人の和田夏十さんが書いています。

和田夏十さんはご病気をするまで、市川崑作品の脚本を書いて二人三脚で制作されていたそうです。



YouTubeで市川監督ご夫妻の解説が、面白い。

市川崑に出会う【WOWOWぷらすと】 - YouTube

市川作品が女性を美化していないのは、和田さんの視点があるからなのですね。


女性にも共感できる映画です。


冒頭は、自殺して幽霊になった女がでてきたり、やはり奇妙な演出です。
一番性格が良さそうだったが、したたかに生きられない女性の末路は悲しい。

仕事優先の男性に対して、女は仕事よりも愛よ!っときっぱりしている。
だが、愛より意地で引くに引けないようにもみえる。

妻は長年の経験から期待できないダンナを見限り、愛人に譲り仕事に生きる。少し未練はありそうだが…

最後の、前だけみてキモの座った表情で運転する岸恵子のシーン。
あの炎上している車は、はたして男の車か?
帰ってどうするのか?

なんだか怖そうなことが待ってそうだ。

観客に想像させる演出がすごいと思った。

市川崑監督作品 その3 『犬神家の一族』をみる

さて、市川崑監督が敬愛するコクトーの映画を5本みたので市川作品をまた観てみようと思います。


1976年

横溝正史推理小説が原作の有名な作品。

石坂浩二さんが主人公の私立探偵、金田一耕助役です。

テレビの2時間サスペンスドラマ風なので、スリリングな展開が見やすくて面白いです。

映像が70年代の独特なレトロな色調とサウンド

笠置シズ子のブギウギの歌や、ビルマの兵役帰りの人物が出てきて、前の市川崑作品がオーバーラップしました。

庵野秀明監督がこの作品が好きで、エヴァ明朝体のクレジットを真似しているのだとか。

カットが早くて、インパクトある映像が後のアニメにも影響を与えているようです。


すごく奇妙で面白かったのですが、名作?といわれているのがイマイチ分からず、こちらの解説を視聴。

【犬神家の一族】全シーン全カットがカッコいい! 映画のここを見てくれ!(独自解説) - YouTube

映画ファンには痺れるポイントがいっぱいあるのですね。

映画は、能動的に面白さを探すことが楽しみでもあります。
市川作品は、いろんな変わった工夫があるので、探偵のように推理しながら観てみようと思います。

コクトーの映画をみる その4『恐るべき親たち』

さて、コクトー映画4本目です。


1949年

これは面白かったです!

喜劇と悲劇と少しサイコスリラーのミックスされたユニークな戯曲的作品。

コクトーの映画は、冒頭に展開が暗示されている。

2度みるとよく分からなく見過ごしていたシーンか、なるほどと思えます。

夢見がちな発明家の父親、医者の不在、散らかった部屋に死にそうな年老いた母親のシーンから始まる。
息子を溺愛する母親とマザコン息子。
母親は息子を恋人に取られるのが許せない。

豚小屋と呼ばれる散らかった部屋を、整頓好きな叔母と恋人が整頓していく。

散らかった部屋にこもる、感情的は子供の象徴。
綺麗な部屋、整頓好き、理性的、ズルい大人の象徴。

大人は子供を「ありえない!」と言いながらも愛さずに入られない。
大人には理性だけでなく心もある。
エゴのない心で解決できるのか?

しかし結局、大人も子供もエゴイスト。
それが喜劇であり、サイコスリラーにもみえる。
 
「恐ろるべき」というのは、マヌケで気がつかないという意味でも使われています。


この作品は、『双頭の鷲』と違って登場人物やセットもものすごくシンプル。


エゴと愛についても考えさせられる、味わい深い傑作だと思いました。

コクトーの映画をみる その3『双頭の鷲』

さて、コクトー作品を続けてみます。


1948年

王室が舞台のドラマチックで比喩的な戯曲ですね。

2回みましたが、詩的なセリフが後のストーリーを暗示してよくできている作品だと思いました。

戯曲なので、抽象的なひょうげんですが、ストーリーを推測してみました。

ネタバレ推測

冒頭の王女がこだまを怖がるシーン、
詩人の登場を暗示させます。

女王は、国王が暗殺されてからヴェールを被り、亡者のように10年間引きこもっています。

10年前と同じ土地で、女王は国王の元に行く計画をたてます。

詩人の登場。
詩人は、女王の計画に必要な死の天使。

女王は占いで、亡き国王と瓜二つの詩人は二人の敵であるといいます。

詩人に自分を殺させるように挑発します。

シェークスピアハムレットの鏡のセリフがでて、
鏡越しの真実をみます。


詩人は観念、つまり存在しない国王ではなく、真実の愛を女王に伝えます。
女王も一人の女性として孤独な者同士、詩人と愛し合います。

女王の心に死への迷いがでてきます。

亡霊の国王を愛している女王に観念を超えた真実の愛を解く詩人。

しかし、女王は詩人に国王の影を消せません。

女王の反対勢力のフェーン伯爵らが周りが二人を引き裂こうとします。

女王は真の女王になり詩人と結ばれるために、対立する勢力と戦いに都に行こうとします。

ヴェールを脱ぎ、これから戦おうとする生き盛んな女王。
対して詩人は気弱に泣いて、戦おうとしない。
女王は威厳とプライドで詩人に喝をいれる。

二人は死に双頭の鷲のように一つになり愛の伝説になる。


双頭の鷲とは、鏡で映される切り離せられない1組。
最初は、国王と詩人?国王と女王?
と思ったが、女王と詩人または全部を表す孤高の愛の伝説の比喩なのだろうと思いました。

コクトーの映画をみる その2『オルフェ』

さて、コクトーの映画を続けてみてみます。


1950年


「なぜなぜと質問ばかりしないで歩くんだ」
と鏡の向こうの死後の世界に案内されるシーン。

この映画もあまり考えないで、みる方がよさそうです。

すごく多層的なイメージのある映画でした。

美女と野獣』と同じく、異世界へ行くには手袋と鏡がアイテムになっています。

死神に愛された詩人オルフェが、黄泉の世界にいく。
詩人の魂は霊界につながり、死神に愛される存在。

黄泉の国に行き受容体ができたのか、車の通信で メッセージのインスピレーションを聞き逃さないように真剣。

現実的な妻に理解されず、孤独でイライラ、また死神に会いたい、会いに行く。


死神は、大きな掟によって行動する意志のない存在。
オルフェを意志をもって愛した罪によって裁かれる。



詩人はインスピレーションを受け取るだけでなく、国家や法、社会などから真の自由意志の存在。

最後は詩人の魂が抜けたのか、セジェストが残った。

終盤にかけてのコミカルさが、コクトーの自虐なのか風刺なのか?

詩人とは何か?

『詩人の血』もいつか観たいとおもいました。

コクトーの映画をみる その1『美女と野獣』

さて、昨日の市川崑監督『果てしなき情熱』が楽しめたので、以前難解で断念したコクトー映画も観られるのではないかと自信がでてきました。



1947年

冒頭のタイトルロールからアート的。

画家でもあるコクトーなので、切り取り画面は絵画的で、画面を遮るほど手前の木などレイヤーの奥行き構図が特徴的です。

セットや音楽が幻想的で、この時代の新しい映像実験作品だったのでしょう。


話は、今ではルッキズム問題ですよね!?

ディズニー版やエマワトソンの実写版など時代によってストーリーも変えています。


モノクロの大人の映像絵本のように楽しめました。
実験的な新しさも感じられて面白かったです。

他のコクトー映画もみてみます!

市川崑監督作品 その2 『果てしなき情熱』をみる

さて、市川崑監督を観てみようと思います。

昨日みた『ビルマの竪琴』でも、市川作品は奇妙な印象があります。


1949年

ここ1ヶ月弱、リアリズム的で自然なカメラのカットの作品をみていたので、画面の切り替も音楽もビックリするほど唐突で、アート的。

フランス映画のようだと思ったら、市川監督はジャン・コクトーを敬愛していたらしい。



芸術家はインスピレーションの悪魔に魅了された、エゴイスト。
情のない自己中心さで周りや自分を不幸にする。
典型的な芸術家のゴッホのようなイメージだ。


この映画はそんな芸術家のシリアスを、大袈裟な演出とコミカル要素をピリッと効かせたニヒリズムを感じる。


大阪弁で気取らない歌姫役、笠置シズ子さんは金勘定できる現実の人。
コミカルな表情が、悲劇ドラマを喜劇の演劇舞台をみる観客として現実世界に戻す。
ワーっと大声をだして、芸術家きどりを夢から醒ます目覚まし時計のよう。


パリの屋根裏のような新婚の部屋。
芸術家を愛するしんは、大きな目で違う夢をみている。
夢みる同士の夢は交わらない。
メトロノームは違うリズムを刻む

孤独な魂、夜のプラットホームは芸術家のアイデンティティ

酔潰れて作る曲は、酔っ払いの駄作かホンモノか?


悲劇は喜劇…

目覚まし時計の笠置シズ子は、鳴るのをやめてまた女を眠らせる

子犬の婦人は、芸術家の理想の夢。
夢はやっぱり覚めない夢

夢消える苦しみをも、すべてが作品の糧になる

死にきれない芸術家は、やはりエゴイスト

苦悩の中にインスピレーションの光がさす




そんな印象が次々と駆けめぐる作品。



この作品自体酷評されているが、アートを楽しむ感覚でみると面白かった。



岩井俊二監督が、市川崑監督を一番好きな映画監督、と言っていたのでもう少し市川作品を観てみます。

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