さて、2つ目の山中貞雄映画をみました。
1936年
28歳で戦死された、山中監督の現存する3本のフィルムの2本目です。
音声が悪く、解説などをよんで2回み、より楽しめました。
当時、26歳の山中監督の作品とは信じられない、多様な登場人物の描かれ方。
河内山宗俊の情婦と、若い娘、原節子、若者を叱咤して許す宗俊の関係はやはり早熟天才監督と思いました。
原節子さんが、デビュー後2作目、16歳で出演してきます。
原節子演じる、お浪さんをみんなで命がけで助けるシーンは、後世に映画の光をつなげていこうとする象徴のように感じました。
山中貞雄さんと小津安二郎さんは友人だったようで、映画のスタイルは雰囲気は違いますが、簡潔な絵作りなどの映像美学がどちらからも感じられます。
若々しく、死を覚悟して肝の座った山中映画。
敗戦後の諦念の感がある小津作品と比べて、敗戦は計り知れない、癒せない傷を感じました。