さて、市川崑作品6本目です。
1960年
カラー作品です。
油絵の様なねっとりとした重たい色調です。
冷たい態度で分かり合えない継母に対して姉弟の絆が深い。
気の強い弟思いの姉の岸惠子さん。
名演技の弟役は川口探検隊の川口浩さん。
妻と子供たちの間にいて、気を焼いても仕事以外何もできない父親は、森雅之さん。
生真面目から、良きようにやることがすべて空回り。家族とうまくいかない継母は、田中絹代さん。
名配役です。
ネタバレ
空模様がどんよりしていて、ストーリー展開を暗示しています。
2回観ると、弟のハチャメチャな言動が生き急いでいるせいだとわかります。
お互い減らず口だが、お互いの心配ばかりする仲の良いきょうだい。
弟の病んでいく様子が痛い痛すぎて、見られない人もいるかもしれない。
誰にでも訪れる家族との別れを、4人それぞれの目線でみえます。
継母でさえ、悪人にみえない。感情移入させない客観的で絵画的な描き方。
ラストシーン、深夜のお茶の用意で薄化粧をして準備していた姉。
エプロンを袖から出して、すぐ立ち上がる。
混乱と自己制御の行動か?
うーん、すごい作品でした。