子猫チビ太とイラストの成長ブログ♪

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市川崑監督作品 その14『太平洋ひとりぼっち』をみる

さて、石原裕次郎主演の海男の映画を観ます。


1964年


堀江謙一さんの実話の同名小説が原作です。

この本を読んで、知り合いのお兄さんが世界一周のヨットの冒険をしたと聞きました。

お兄さんは陽気で社交的、エネルギッシュな方でしたが、海ではひとりぼっち。まったく陸地にいる時と違うのだなぁと思いました。

人間のエネルギーが器以上に大きいと、日常からはみ出し冒険したくなるかなと思ったものです。


自分の命は自分で握っている海の上。
荒れた海と寝不足で疲労の限界になると、精神も錯乱する。
歌や料理とか精神状態を保つ工夫が面白い。

昔は通信や装備品がアナログ式で古いので、

市川崑監督作品 その13『日本橋』をみる

さて、13本目です。


1956年

芸妓さんの悲しい恋愛の美しさ、狂気を描いた泉鏡花原作の映画。

日本橋あたりの芸者の館の凛とした女主人、お孝役に淡島千景さん。
お孝がライバル視すること心優しい美しい芸者、清葉役は山本富士子さん。

お孝に惚れる赤熊は、自分の血を赤子に飲ませたり、熊の毛皮にわくウジ虫を食す強烈キャラクター。

ネタバレ

二人の芸者が想いを寄せる客、二枚目の大学教授、葛木。
葛木は、清葉に惚れているが、清葉は旦那と子供を持つ妾の身。結婚の申し出を断る。

貧しさから芸者になり、妾になり、ひなたで歩ける夫婦になれない。芸者の悲しいさ、恨めしさ、悲哀が儚くも美しい。

独り身の異様な風体の赤熊に同情するのも、芸者も同じ孤独な境遇だからか。

芸者の美しい化粧と着物と所作。
歌や三味線を弾き、現代の芸能人のよう。

旬を過ぎれば、求められることもない。
悲しい運命を分りあえるのは芸者同士。

お孝が最後に託せるのは、嫌っていた清葉だった。

時は流れ、芸者は代替わりをし、忘れ去られていく。
カランコロンとゲタを鳴らし、忘れられないよう幽霊になって現れる寂しいさ…

市川作品独特の美しいカラー映像で、物悲しさを描いた作品でした。

市川崑監督作品 その12『満員電車』をみる

さて、12作品目の視聴です。


1957年

これは、風刺のきいた?面白い映画でした。
漫画みたいでハチャメチャな展開。



主演の民雄は、『おとうと』の川口浩さん。
日本の最高学府?平和大学を卒業、有名ラクダビール企業に就職、順風満帆の人生のはずが…

ネタバレ

「我々が希望を持って座れる座席なんかどこにも空いてはしない」



高度成長期の映画だけれど、不景気、人口増加、一流大学をせっかく出ても、将来安泰の希望はない。

55歳定年33年勤めて必要経費を引いて190万の現金が残る試算。


笠智衆杉村春子が民雄の両親役。
時計店の職人に父は、規則正しく時計のように秩序重視の清廉潔白なら人物。
民雄を独立独歩の人間に育てあげた。

民雄は新入社員研修後、尼崎のビール工場の経理に赴任。

満員電車に押し込められ、時間通りのルーティンワーク。
民雄は、1日の仕事を10分で終わらせる超優秀ぶり。能力を発揮しても叱られる。

母親は嫌なことがある度に隠すように笑うようになった。父親は発狂したと思い込む。
民雄は、和紙破太郎という精神科の医大生を両親のもとにつかわす。

ビール工場のオートメーションの機会が作動中は、歯痛が起こる。ストレスが体に出てるようだ。

肩こり、膝痛、と次つぎと体に不調が。

ここから、メチャクチャな展開。
もしかしたらここから、夢か?

尻に打った注射から、ひと晩に白髪になる。
体の悲鳴が止まらない。

母親が民雄の寮にやってきた。
母親を指差して「あなたは父?」という。

父親が和紙の病院の患者になってる。

三段跳びをして和紙がバスに轢かれ亡くなり、民雄も電柱にぶつかり31日間失神。

民雄は、起き上がり会社へ、解雇される。
失業、東京に戻って就職活動して小学校の小遣いになる。

小遣いも失業。小学校の裏に掘立て小屋をつくって、受験塾をつくる。風に飛ばされそう。

小学校の入学式で、子供たちに演説する校長。
頑張って勉強して上の学校へいきましょう。
            完


やっぱり夢オチ?

不満、不安から起こる想像の物語だとしても、なんかわかるなあーと結構自然にみることができた。

今も昔もあんまり変わらないんだなぁ。

市川崑監督作品 その11『私は2歳』をみる

さて、11本目の作品鑑賞です。


1962年


赤ちゃんの目からみた、ママ、パパの子育て奮闘記です。

子育て経験のある方なら、きっと共感する作品ではないでしょうか。
私は、子育て経験がありませんが、映画をみながらタアちゃんのママの立場になってみました。

脚本の市川崑夫人、和田夏十さんも2人のお子さんの母親、(当時43歳)のご経験からのエピソードもあるのでしょうね。

ママは山本富士子さん、パパは船越英二さん。
美男美女ですが、平凡な夫婦にみえます。


初めての子育て。
坊やのタアちゃんがイタズラ好きなので、ママは気がきでありません。
パパも頑張ってますが、ちょっとピントはずれ。ママは心配しすぎですが、タアちゃんが危なっかしすぎ!

表情豊かなタアちゃんは可愛いし、子供に対する愛情の眼差しやナレーション、音楽が暖かくて優しい。


子供の目からみると、ちょっとした事も大事件です。ママのアップが多いです。

ママさん同士は分かり合えますが、やはり一番可愛いのは我が子。

おばあちゃんと嫁の育児方針が違って衝突することも。いつの時代も同じ。

家族は人生の大きな舞台。
一人でもいなくなると寂しいですね…

森永乳業がスポンサーになってるので、牛乳のエピソードが多いです。

難しいことは考えないで観られる、いい作品でした。
子供の頃のこと、両親のことを思い出して感謝できるので、疲れた時などに観るのにオススメです🎵

市川崑監督作品 その10『雪之丞変化』をみる

さて、こちらの日本古典的映画を観てみます。


1963年


1935年、長谷川一夫さんが主演したの同名映画のリメイク版です。
長谷川一夫さんが恰幅の良い55歳時の作品。
モテモテの色男役には違和感がありますが、女装の異次元キャラとしての魅力はたっぷり。

ミーハーという言葉は、長谷川一夫さんから派生したそうで、当時は大変な人気だったのですね。

盗賊が蔓延る不景気な江戸期の、父の仇を打つ雪之の復讐物語です。

古い映画をご存知の方には有名なおキマリの物語ですが、私は時代劇をあまり観て来なかったので新しい感じがします。

昼は役者の雪之丞、夜は盗賊の闇太郎の二役を長谷川一夫さんが演じています。
右頬の下のホクロで分かりますね。
二人が対面しているシーンがありますから別の人物設定です。
二人のシーンは自然な合成になっています。

若尾文子さんも山本富士子さんも可愛い。
昼太郎役の市川雷蔵さんもやはり舞台劇が合ってますね。
 
雪之丞の所作が美輪明宏さんみたいだな、と思ったら美輪さんも雪之丞を舞台で演じていたのですね。

伝統の舞台劇のような、切れのいい演技やセリフ言い回しが気持ちが良い作品でした。

市川崑監督作品 その9『穴』をみる

さて、市川作品の9本目です。

1957年

銀行の一千万円横領事件のモノクロのサスペンスコメディ。

昨日みた『鍵』の妖艶な京マチ子さんが主演。
この作品では男まさりのルポライター役をコミカルに演じています。
同一人物とは思えない七変化の女優さんです。

速いセリフと動作、場面転換、軽快な音楽がトーキー映画のよう。
ストーリーの展開も速く、飽きません。

京マチ子の推理で、「やっぱり穴だ!」と銀行の出納係の穴井に電話をかけるシーン。
穴井(むつい)と結びつけるのが強引な感じがするが…コメディということで。

29日間の経過を太陽や雨の絵で表現していたり、
体を縛るロープの切れ方など、スタイリッシュでカッコいい。

京マチ子の演技が光る作品でした。

市川崑監督作品 その8『鍵』をみる

さて、谷崎潤一郎原作の作品を観てみます。


1961年

谷崎の耽美的世界観。

古美術鑑定家の剣持の家族に木村という医師の卵が巻き込まれていく。


老衰と戦う剣持、いわゆるエロ爺さんが妖艶な妻との夫婦の営みをなんとかしたいと思っている。

注射、カラスミ、滋養強壮を色々試すが、木村を使って嫉妬の興奮を起こそうとする。

剣持には愛情を感じていない妻は、木村と情事を重ねる。


表面上貞淑で礼儀正しい妻と木村。
妻の京マチ子さんのメイクは能面のよう。
木村も白い。気持ちを表に出さない愚鈍な役柄。

家族の異様さを、市川作品常連の北林谷栄さんが老女中役の視点で見ている。
ある種一般の観客の視点。



エロ映画にもなるストーリーだが、露わなシーンはあまりなく、前後の映像やセリフで品のあるエロチシズム演出をしている。

赤と緑の缶を引き立てるカラー演出は、すごいと思った。

こういう作品は今ではなかなか作れないのかもしれない…